KURAMA(Kyoto University RAdiation MApping system)は、京都大学原子炉実験所によって開発された走行サーベイシステムです。従来の専用測定車による精密測定ではなく、一般乗用車に多数搭載して広範囲の状況を詳細かつ短時間に把握する事を目的としたシステムです。KURAMA-Iの車載機は市販のGPSやノートPCなどで廉価に構成されています。KURAMA-IIでは、更なる小型化や堅牢性の向上や、完全自動測定を可能にしています。
KURAMAはコンパクトで操作が簡単なシステムとして構成されています。測定したデータを携帯電話回線によりほぼリアルタイムで転送し、インターネットに接続されたサーバにデータを蓄積するとともに、モニタ上で結果も確認できます。もし、測定に問題があれば迅速に対応できるため、柔軟で効率の高いサーベイを実施できます。
KURAMA-IIを路線バス内部(概ね後部座席後方センターライン側)に設置しており、エンジン始動から終了までの間、3秒間隔で線量率と位置情報を測定し送信し続けます。時間を一定間隔としているため、測定点間の距離は一定ではありません。通常のバスの運行速度であれば、30から100m程度となります。
本サイトの測定データは、KURAMA-IIの測定値に対して、以下の補正処理を行っています。
この処理は、検出器の回路の特性を補正した上で、車外の地上1mでの空間線量率に換算するためのものです。
H(補正車内線量率) = M/(1-0.0027×M) :Mは測定線量率
補正後空間線量率 = 1.6(補正係数) × H(補正車内線量率)
KURAMA-IIでは、GPS受信機によって測定位置情報を取得していますが、電波の受信状況によって誤差が発生してしまうことは避けられません。そのため、以下のような処理を実施しています。
・正確な位置情報を取得できなかったデータの削除
・道路データに基づく位置情報の補正
・トンネル内や高架下(汚染されていない場所)のデータの削除
それぞれの測定点のデータは、概ね100 m × 100 m程度の区画ごとに1週間分のデータまとめて平均値を求め、それをその区画の線量率として公表しています。100 m × 100 m程度の区画としているのは、周囲に分布するCs-137とCs-134のγ線の寄与の度合やGPSの測定精度(±10 m程度)を考慮したためです
経時変化を求める際は1ヶ月分の測定データについてメッシュ内の平均値を求め、その月の値として使用しています。